穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

新型コロナについて考えを巡らせてみた

scienceportal.jst.go.jp

ようやく発表された新型コロナの抗体検査の結果は、東京都で0.6%の陽性率だったそうな。
半月ほど発表が遅れた理由はよく分からんけど、厚労省自ら、この数値の信頼性は高くないと認めているように、検査のクオリティになんらかの問題を抱えていたようで、ゆえに時間が掛かったのかもしれない。
で、この辺りを指摘している、専門サイトのニュース記事があったので参考に下記リンクも。

bio.nikkeibp.co.jp

そんな訳で、この陽性率をどう捉えるか難しいところではあるけれど、率直な印象としては、ちと低いんじゃね?というところだ。
まぁ、これは自分が2月に”コロナかも?風邪”を引いても医療行政に相手にされなかったり、怪しい風邪を引いた人を周辺で見かけてたりと、稚拙な政府の対策と相まって、どう考えてもそりゃ蔓延してるだろ、という実感しかなかったので、0.6%と聞いてもいまいちピンとこない。
ま、一応、国の方では、より大規模な抗体検査を行う予定らしいので、感染の実態に近づけることに期待するしかないのだけど、ただし、ちょっとだけ気になっていることも。

www.nikkei.com

新型コロナと言えば「クラスター」と言われるように、いわゆる3密を満たした一定の条件下だと凄まじいほどの感染力を見せるものの、条件を満たさない環境下では、感染力が途端に下がる特性を持っているのが明らかになっているけど、即ち、薄く広く感染していくというよりは、狭い範囲で感染力を発揮し、かような局所的な感染の連鎖を繰り返しながら広がっていった訳で、それはまさに都道府県別の感染者数の分布でも示されているように、エリアによって感染の広がり方にかなりの濃淡が見て取れるんだよね。
つまりは、福島原発事故と同じように、新型コロナにもホットスポットが存在するんじゃねって話。
従って、抗体検査をやるのなら、かような濃淡を可視化できるようなサンプリング検査が必要になるのだけど、果たして、国はそこまで感染実態に迫る検査をするのか、気になるところではあるよね。
例えば、広範囲かつランダムにサンプリングを行う検査だと、仮にホットスポットが存在していた場合に抗体検査の網に引っかからない可能性もありそうなので、そうなると地域差の濃淡がさほど可視化されないケースもありえるかと。
この辺り、抗体検査の目的とその方法次第で、結果に対する評価も変わってくることになりそうだね。

wedge.ismedia.jp


さて、続いては、もう一つ気になったニュース。

www.asahi.com

当時の穴ぼこオヤジが、このままでは東京も武漢や北イタリアのようになってしまうという危機感しか持ち合わせていなかったのは、過去のエントリーを見れば明らかな訳なんだけど、今となっては、そこまでの危機を迎えることなく緊急事態宣言を解除するまでに至り、この先どうなるかは分からないにせよ、現時点で、穴ぼこオヤジの危機感は、単なるから騒ぎで終わりそうな格好となっている。
まぁ、悪い予測は外れるに越したことはないのだけれども、そもそも日本国内のPCR検査が不十分過ぎて感染の実態を追えていないので、なぜ最悪の事態を免れることができたのか、いわゆるノーベル賞博士の山中教授が言うところファクターXの存在は誰も明らかにすることはできていない。
とはいえ、さすがに最悪の事態を免れたのが安倍政権のお陰だと思っている人は少ないだろうけど...
いずれにしろ、第2、3波や、今秋とも言われる再流行へ備えるためにも、ファクターXの解明が急務であることに変わりはない。

ということで、日本の国内感染者数のデータなぞあてにならないので、前回のエントリーで示したように致死死亡率*1(正確には致死死亡割合)のデータを注視するようにしているのだけど、先日、このデータをいじっていたら、ある一つの傾向に気がついてみた。

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日本と同じような感染状況の国を調べていたら、なんと東アジア圏に集中していることが判明。
分かりやすく、欧米と東アジアとで致死死亡割合を比較してみたところ、恐ろしいほどに二極化がはっきりと露わになった。
これ、どう考えても単なる偶然ではないでしょ。
ちなみに、新型コロナウィルスには起源となった中国型と進化系の欧州型の2つのタイプが存在していて、中国型より欧州型の方が強烈らしく、考えようによっては、それがそのまま世界地図にも現れていると言えなくもない。
あと、ウィルスの個体差ではなかったとするならば、人種による免疫力の差とか気候の違いなんかの可能性も考えられるけど、まぁいずれにしろ、安倍総理が先の会見で、日本のコロナ対策が欧米と比較して遥かに優れた結果をもたらしている旨、誇らしげに語っていたけど、確かに欧米と比較すれば優れてはいるものの、それは日本だけじゃなくて東アジア全体に当てはまる話なんだよね。
それこそ日本モデルなんて、ちゃんちゃらおかしい話で、特段、日本のコロナ対策が優れていた訳でも、国民性が奏功した訳でもなく、ファクターXは、実は東アジア地域で固有の感染の特性だったのかもしれないって話。
でもって、東アジアに限って見れば、日本の致死死亡割合は悪い方で、少なくとも、東アジア圏では、日本の感染対策はむしろ失敗の部類に入るという残念な事実も。
そんな訳で、欧米と比べて優位性を語ることに果たして何の意味があるのだろうか?
安倍総理にしろ、国内メディアにしろ、未だ欧米コンプレックス丸出しのメンタリティをも、新型コロナが写し出すとはねぇ。

ちなみに、オセアニアも東アジアと似たような状況だったり。
って考えると、つまりは、欧米の方がむしろ突出して酷かったってのが実情なんだよなぁ。
あ、ブラジルが猛追中だけど...

あと、こんなこと言っちゃあ身も蓋もない話だけど、新型コロナに対して、あらゆる感染対策を講じようとも、結局、似たような結果に辿り着くという見方もできるんだよね。
中国、韓国、日本とそれぞれに独自の感染対策を行ってきたけど、フィリピンにしろインドネシアにしろ、今の所、どこも致死死亡割合は似たようなもんで、逆に言うと、新型コロナにはどんな感染対策も、あまり意味をなしていないとも言えてしまうのが虚しい。
改めて、こうやってデータで俯瞰してみると、このウィルスの不可解さが一段と浮かんできますな。

そんな訳で、新型コロナの感染状況には様々なコントラストが存在し、そしてどこをフォーカスするかによって、様々に評価も変わっていくという、誠にユニークで厄介な存在とも言えそうだね。
そう考えると、0.6%という東京都の陽性率と、穴ぼこオヤジの周囲で感じた流行してるんじゃね?という肌感覚とで乖離があったとしても、なんら矛盾する話では無くて、それこそ、新型コロナを巡っては、真逆のニュースや意見が方々で飛び交っている現状があるけど、見る角度や切り取り方によって色んな姿を見せるのが、この未知なるウィルスの一番の特性なのかもしれない。


で、最後に新型コロナの全貌を客観的かつアカデミックに捉えたネット記事を発見。
これを読んで、多角的な視点を伴いながら事実をひとつひとつ丁寧に積み重ねていき、確証を得ていくという、まさに地道な作業の大切さを改めて思ってみた次第。
中でも、日本の感染者はそもそも少なかったのではないかとする見解が示されていて、感染者はもっといるはずだ!と考えていた穴ぼこオヤジの石頭を見事に叩き割ってくれている。

natgeo.nikkeibp.co.jp

思うに、PCR検査の不備に対する不信や不安が、感染者がもっといるはずだという思考に走らせた面は否めない訳で、結局のところ、穴ぼこオヤジは勿論のこと、テレビのコメンテーターは元より、専門家や医師ですら、様々なバイアスにまみれてしまうのが現実な訳で、未知のウィルスに対する不安や恐怖がもたらす感情や先入観をいかに切り離して考えることができるのかが、新型コロナを克服する鍵になりそうだね。

同じような視点で、8割おじさんことクラスター対策班の西浦教授が気になる考察をしているのでそのリンク記事も。
ちなみに西浦教授も国内陽性率は1%程度という見解を示している。

toyokeizai.net

日本の流行は当初の中国由来ではなく、欧米由来だったことが判明しているだけに、出入国の規制そのものが感染対策に直結することは間違いなさそうだけど、今度は上手くやれるのだろうか。
なんせ我が国の総理大臣は、もはや裸の総理様だからなぁ。


そんな訳で、まさにグローバリズムによって一気に世界を震撼させた新型コロナが、ローカリズムによって帰結するという流れは、なんか現代社会の歪を暗示しているかのよう。
それこそ、世界が変われるのか試されているようにも思えるよね。
人類が地球を滅ぼしてしまわないように、神がつかわしたのかも?
だとすると「コロナ」というネーミングにすら何かメッセージがあるように思えてきたよ。


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*1:致死率の用法があやふやなまま用いていたので、死亡率に訂正します。う~ん、なんとなく分かっていたつもりで使っていた言葉の間違いに気付くのって難しい。