穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

フィロソフィーのダンスと宮野弦士

かつてのブームも一段落を迎え、今や飽和状態ともいえるアイドル業界。
コロナ禍もあって、更に生存競争の厳しさが日々増しているような感じも。
まさにそんな流れを象徴するかのように「欅坂46」が改名するとのニュースがネット上を賑わし、アイドルファンのみならず世間をざわつかせていたけど、穴ぼこオヤジ的にはこっちのネタの方がざわついてしまった。

gentomiyano.hatenablog.com

デビューから5年間、楽曲およびライブ演奏を担当してきた
フィロソフィーのダンス」のプロジェクトから、
本年1月をもちまして完全に離れることになりました。


今から2年程前に、オヤジホイホイそのものとも言える楽曲「ダンス・ファウンダー」が脳内に刷り込まれてからというもの、その動向をウォッチし続けている「フィロソフィーのダンス」(以下フィロのス)という4人組のアイドルグループがいるのだけど、昨今のアイドルブームの中では、ややアウトサイダー的な存在として異彩を放ちながら、いわゆる楽曲派という立ちを確立するに至り、ついにはメジャーデビューを果たすなど、ここ最近、にわかに注目を集める存在になってきているんだよね。


フィロソフィーのダンス/ ダンス・ファウンダー(リ・ボーカル&シングル・ミックス)
穴ぼこオヤジが80’sで形成されているのを実感せざるを得ないPV


で、そんな躍進を遂げているフィロのスの楽曲全般を支えているのが「宮野弦士」なる若手のサウンドクリエイターなんだけど、恐らく今後、ヒットメイカーとして、その名が知れ渡ることになるかもやしれずと、穴ぼこオヤジが密かに期待している若手の一人だったり。
音楽的には、ナイル・ロジャースを敬愛しているだけあって、ブラコンやファンクをベースにした80’sテイスト溢れるサウンドが特徴なんだけど、これがまた、フィロのスが歌うと、クールさとダサさが絶妙にブレンドさせた優れたアイドルポップスへの化学反応が起きるようで、アイドルファンのみならず、音楽ファンの琴線をもくすぐりながら、じわじわと人気を広げてきている次第。

ちなみに、このフィロのスを仕掛けているのが、新人発掘のスペシャリストとして音楽業界ではその名が知られている加茂啓太郎*1という音楽プロデューサーで、何が凄いって、この方、穴ぼこオヤジがかつて新人発掘の仕事をしていた頃から既に業界内では知られた人物で、つまりは20年以上も前から第一線で活躍し続けているというまさに伝説のような人なんだよね。
当時は、今は無き東芝EMI内の個人プロデューサーみたいな形で新人発掘をしていて、残念ながら直接の面識はなかったんだけど、穴ぼこオヤジが足しげく通ったライブハウスやバンドのライブなんかでしょっちゅう見かけてたもんだった。
恐らく、追っかけていたアマチュアバンドがバッティングしていたなんてことも結構あったと思うのだけど、それが今やかつて穴ぼこオヤジが新人発掘の仕事をしていたレコード会社に籍を移しているんだから、不思議な縁も感じてみたり。
とはいえ、もはやレコード会社自体が吸収合併を繰り返していて、僅か数社となってしまったので、必然の流れではあるのだけれど...

とまぁ、そんな歴戦の加茂さんが、自らプロデュースを行って結成したのが、フィロのスという訳で、アーティスト性をまといつつ、アイドルグループという枠組みを超えた支持を集めているのも、彼のキャリアを考えればある意味当然の話ではあるんだよね。

で、話をフィロのスに戻すと、穴ぼこオヤジの涙腺崩壊ソングでもあるアニメけものフレンズの「ようこそジャパリパークへ」の歌詞で「姿かたちも十人十色 だから魅かれ合うの」という素敵な一節があるのだけど、フィロのスがまさにそれをリアルに体現していて、ステージから発せられるメンバー4人の個性がそれぞれに輝き、重なり合うことで、多様性や受容性といった世界観までをも垣間見せ、見る者に救いの手すら差し伸べてくれているように覚えてしまうのだけど、アイドルグループは数あれど、そんな「愛」や「希望」のような感覚を抱かせてくれるのは、フィロのスだけなんだよなぁ。

エンタメと狂気の際を行く、抱腹絶倒は避けられないギリ放送禁止レベルのインストアライブ


でもって、パワフルなボーカルのハルと艶っぽいボーカルのマリリの好対照なツインボーカルが、フィロのス最大の武器ではあるんだけど、穴ぼこオヤジ的には4人のコーラスワークに、実は魅力を一番感じていたりして、まさに4人の個性と調和が織りなすバランスがなんとも絶妙なんだよね。
おまけにライブでの再現性や安定感もあるので、他のアイドルグループとは一線を画す、音楽的なクオリティも保っているし。
そしてそれは、宮野弦士のサウンドプロデュースの手腕によるところは疑いようのない話で、そんな制作スタッフとアイドルの良質な関係によって、独自の黄金比を生み出すことに成功している、一つの理想形なんじゃないのかな。

www.youtube.comアイドルグループの枠組みはもはや不要なライブパフォーマンス


恐らく、彼のプロデュースによって彼女達の魅力が引き出されてきた一方で、彼女達の存在によって、彼の才能もまた引き出され、まさに互いに成長し合う関係が構築されてきたと想像するのだけど、それゆえに、この先をもっと期待していた身からすると、今回の決断は、とても残念としか言いようがない。
とはいえ、宮野弦士の才能を周囲がほっておく訳はないので、フィロのスのメジャーデビューを期に、互いに袂を分かつタイミングと判断したのであれば、それもまた理解できる話ではあるんだけどね。
フィロのスサイドにとっては、宮野弦士の離脱はかなりの痛手だと思うけど、ただ、加茂さんのことだから、また新たな才能の持ち主のクリエーターをフィロのスにぶつけてくると期待する他ないね。


フィロソフィーのダンス/ヒューリスティック・シティ、ミュージック・ビデオ
まさに黄金比によって生み出された、単なるアイドルソングを超越した、2000年代のシティポップを代表すると言って差し支えない楽曲


あと思うのは、本来だったら、生バンドでも遜色ないライブを見せるフィロのスだけに、もしもコロナ禍が無ければ、今頃、夏フェスなんかで音楽ファンの度肝を抜かしていたかもやしれず、成長を遂げているアイドルやアーティストにとって、かようなライブパフォーマンスの場を失っている影響は計り知れない物があるだろうね。
ただし、アイドルが人々に元気や希望を与える役割を担っているのだとするならば、むしろ、こういう時代だからこそ、アイドルグループの存在が求められるとも言える訳で、彼女達には今だからできる道を信じて、存在意義を存分に高めていって欲しいところ。
いずれにしろ、近々リリースされる新曲含めて、今後の動向も追っかけていくつもりだけど、いやほんと、なんかきっかけさえあれば、いつブレイクしてもおかしくないところまで、来ているんだけどなぁ。

divot.hatenablog.com

一方の宮野弦士については、穴ぼこオヤジがフィロのス以外で気になったアイドルグループの曲も、気が付いたら彼の作品だったりしたことがあって、別に狙っている訳ではないのだろうけど、いちいちオヤジ心をくすぐる楽曲を作るセンスには脱帽するしかない。
そんなオヤジ心を持ち合わせている一方で、自らユーチューブやブログを通じて楽曲制作の過程やノウハウを公開してみせたりと、オープンソース的な制作スタンスはまさに新たな時代の音楽制作者像を提示していたりで、あらゆる面で注目に値する音楽家として、こちらも更なる活躍に期待せずにはいられない。


MELLOW MELLOW「マジックランデブー」MV
穴ぼこオヤジがどハマりしていた宮野弦士による楽曲

www.youtube.com宮野弦士のユーチューブチャンネル。音楽制作のノウハウを自らの楽曲を用いて公開している


そんな訳で歳のせいなのか、時代のせいなのか、昨今の音楽に刺激を受けることが少なくなって久しいのだけど、久々にワクワク感を覚える存在が現れて、今後の楽しみがちびっと増えている穴ぼこオヤジなのでした。

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