穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

「嫁」にさせていただきます

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いずれこんな騒動が起きるだろうなと思ってはいたけど、これ非常に悩ましい問題だよね。
というのも日本語には、偏ったジェンダー観が語源と思われる言葉がかなりあって、個人的なポリシーとしては、穴ぼこブログでは極力使わないようしているつもりなのだけど、ただし「穴ぼこ嫁」を除くという但し書きは必要かも。

そもそも、穴ぼこブログを始めた時に自分の配偶者をどう表そうかと、それなりに考えたのだけど、結局、語呂やニュアンスを優先して「穴ぼこ嫁」に至ったという次第。
恐らく一般的には「妻」という言葉が当てはまるのだろうだけど、実生活ではほとんど使わない上に「穴ぼこ妻」となると、まるでイメージが変わってきてしまう。
もとい「妻」の語源からしても、実は添え物(刺身のツマ)的な意味合いがあるようで、他にも「家内」「奥さん」「女房」と様々バリエーションはあるものの、いずれの語源もやはり女性を卑下しているところから派生してはいるんだよね。
一方で「かみさん」なんてのもあるけど、これは敢えて逆の言葉を使っている辺りからして、本質的に違いは無いとも言えるし。
かといって、「相方」「パートナー」や「連れ合い」ってのもなんだかしっくりこない。

ただ、言葉の持つ意味は時代と共に変化していくものなので、あまりセンシティブに考えるのもどうかとは思う。
例え語源が男尊女卑的な意味合いからだったとしても、現代では一般化、記号化されていたりもするので、言葉狩りのようなことになるのは少し筋が違うようには思うよね。

ちなみに、非常にユニークな例としては「貴様」という言葉があるけど、これ本来は敬語や丁寧語として使われていた言葉だそうで、確かに使われている漢字はまさに敬う字ばかりなんだけど、もし現代で、先輩や上司に対して「貴様」と呼ぼうものなら、えらいこっちゃになってしまう訳で、まさに言葉の持つ意味が時代と共に180度も変質したケースとなっている。
なんでも、多くの人々がその言葉を使い始めると、そこに新たな意味や用法などアレンジが加えられていき、語源から独立して変化していくことがあるのだそうな。

ってなことを、先日、「させていただきます」が気になっている武田砂鉄のラジオ番組にトークゲストとして出演していた「させていただきます」についての著作を出した大学教授が話していたのを、膝を打ちながら聴いておりました。

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あと、一般化する上では若い世代の影響力が強くて、特に女子高生カルチャーの存在が大きいとも言ってたね。
ある意味、言葉を巡る保守と革新の闘いって感じだわな。

ただ、女性にまつわる言葉の場合は、「させていただきます」や「貴様」といった尊敬語や丁寧語と違って、語源は元より言葉そのものもに偏ったジェンダー観が示されているものも多いので、言葉が持つ意味が変化してきたというよりは、社会意識が変わってきたことによって、その言葉の捉え方も変化してきたケースなのだと思う。

特に「姑息」「老婆心」や「女々しい」なんかは現代のジェンダー観に照らせば、女性蔑視が過ぎる言葉にしか見えない訳で、さすがにセンシティブにならざるをえないし、他方、「男前」や「男勝り」とか「男らしい」なんてのにも逆説的に同じことが言えるのだと思う。

それこそ、「男なら泣くな!」なんてことも言えない世の中なんて、そんな息苦しい時代はおかしい、とのたまっていたワイドショーの司会者を目にしたけど、かようなジェンダー観が差別と地続きであることが、まったく自覚できていないご様子で愕然とした。

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「男らしさ」を無自覚に強要されることの方が、よっぽど息苦しいはずなんだけどね。
こういうのって、いまだ体罰を教育熱心に変換して肯定する風潮と同じ匂いを感じてしまう。
例えば親が「男らしさ」や「女らしさ」持ち出すのも、教師が体罰を振るうのも、実は彼等自身が役割を手抜きをしたり支配するためのテクニックでしかないんだけどね。

そんな訳で、時代によって社会意識が変われば、それに伴って物の見方や価値感も変わるのは当たり前の話な訳で、意味を失っていく言葉もあれば、意味が変わっていく言葉が現れるのも、ごく自然の流れではあるんだよね。
即ちそれは、社会の変化をどれだけアップデートしているのかが、語られる言葉によっても証明されるということだ。

それこそ森前会長の失言は、まさにアップデートをしてこなかった証明であり、起こるべくして起こった、時代に取り残された戯言だったのだと思う。
とまぁ、時代遅れのコンテンツになりつつあるブログで語ったところで説得力はないけど?
んな訳で、しばらくは、穴ぼこ「嫁」にさせていただきます。

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