穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

新社会主義?

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国民を巻き込んだ党内のゴタゴタ劇の末、岸田新政権が誕生したのも束の間、「分配」の必要性を訴えて解散した。
デフレ不況と言われ続けている間にも株価は上昇を続け、企業は内部留保に走り、その一方で、実質賃金は横ばい、そして生活保護は倍増するなど、自公政権によって、まさに格差の拡大と固定化を招き、国を歪ませてきた訳で、何を今更としか言いようが無い。
経済的にも社会的にも日本の将来を救うには、歪を正すこと、即ち富の再分配以外に道が無いのは明らかなのだけど、これまで政権与党の中枢で歪を生んだ立場にいた人間がどの面下げて言ってんだって話ではある。
そもそもコロナ対策でもはっきりしているように、自公政権の目は、財界、創価学会とせいぜい高齢者にしか向いていないので、彼らの利益に反する再分配なぞ出来るはずがないのだけど。
ましてや、安倍麻生に魂売って総理の座に収まった人間が、飼い犬の手を噛む真似なぞ出来るはずもない。
仮に無党派層の支持でも大量に獲得して、安倍麻生に反旗を翻す野心があるのだとしたら、大したもんだけど、早々にトーンダウンしてるし。

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そもそも政権与党が政策や政治姿勢を改めるというのならば、前政権の反省や検証を行った上で変更点を明かにする責務が伴うはずなんだけど、当然、そんな姿勢は皆無な訳で、いわばパチンコ屋の新装開店のチラシみたいな新政権でしかないんだよね。
看板を付け替えたところで、オーナーも経営方針もなんら変わることは無いので、看板政策は単なる見せかけのままで終わることになるだろう。
まぁ、むしろ彼らの目的は選挙に勝てさえすればよいので、もっともらしいことを言って有権者の期待を煽りつつ、野党との争点を無効化にするための方便とも言った方が正しいのかもしれない。

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一方で、分配に脊髄反射の如く、過剰な反応を示す新自由主義者の親分のツイッター

実体経済でトリクルダウンが起きないことは歴史的に証明されつつある訳で、であるならば政治によって富の再分配を促していく他ないのは明らかなんだけどね。
未だかつて、ネオリベの側から、格差の拡大と固定化を懸念する話を聞いたことがない。
そりゃそのはずで、彼らの膨大な利益は、労働者からの過分な搾取で成り立っている訳で、再分配なぞもっての外だもんね。
とはいえ、労働者の懐が暖まらなければ消費が冷え込むのも当たり前の話なんだけど、それって新自由主義者からしたって搾取先を失うことにもなるのだけどなぁ。
草食動物が居なくなればライオンも餓死するしかないよ。

あと、二重課税の批判にしても、既に消費税でも起きている事なので、自分達の資産にフォーカスして批判したところで、なんら説得力を持たない。
ついでにもっとスリム化しろとか言っているけど、世界的にみれば日本は既に小さな政府なので、これ以上の緊縮策は国が滅んじゃうよ。
それこそ、彼の論を用いたらアメリカ以外の先進国は皆、社会主義国家ってことになっちまう。
結局のところ、三木谷社長の一連の発言は、新自由主義者というよりも拝金主義にまみれたご都合主義者と呼ぶ方が正しいと思う次第。

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つくづく不思議なのは、かような「なんちゃってネオリベ」に期待を抱く人々が有権者にそれなりにいることなんだよね。
なんちゃってネオリベ政党といえば今は無き「みんなの党」が思い起こされるけど、そのマインドは「維新の会」に引き継がれ、根強い支持を集め続けている。
まぁ好景気ならまだしも、コロナ禍における大阪の失政でも明らかなように、ネオリベと危機管理の相性が最悪なのは実証済みなんだけどねぇ。
三木谷のような経営者や資産家がネオリベを志向するのは当然だとしても、庶民の支持が無ければ、なんちゃってネオリベ政党は存在しえない訳で、貧乏人が金持ちの心配してどうすんの?って話だよ。

ネオリベ総本山のアメリカですらサンダースの登場によって若い世代で社会主義への支持が集まりだしているというのに、日本は未だ、反共のバイアスが色濃く存在し、社会主義への偏見が根強く残っているように思う次第。
まぁこの辺りは、安倍政権下での反共キャンペーンと左派政党の自滅が大きく影響しているのだろうけど。

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そういった意味でも、自民党プロパガンダだけは時代の先を行っているとは思う。
かねてから自民党の党勢の分析力はかなり精度が高いと穴ぼこ的には思っているのだけど、どうすれば選挙に勝てるかをよく分かっているんだよね。
ネトウヨプロパガンダしかり、そもそも菅降ろしにしても、G20を蔑ろにしてまで解散を早めるのも、今まで口にしてこなかった分配を言い出すのも、はたまた公明党と組み続けているのも、全ては選挙に勝つための手段であり、だからこそ長期政権を築けてきたのだとも思う。
とはいえ、さすがにコロナ禍によって鮮明になった失政のダメージは大きいようで、なりふり構ってられない様子も垣間見えてはいる。
考えるに、自公政権によってもたらされた歪は分断を生み、と同時にその分断を利用して長期政権を維持できたまでは良かったけど、結局は分断は国力を弱めることにしか作用しないので、分断する側の支持層に支えられてきた政権では、国難とも言えるコロナ禍を乗り切ることができず、いよいよ行き詰ってしまったということなんだろうね。
そんな訳で、まさか自民党の口から「分配」の言葉が聞けるとは思わなかったけど、ただしそれはあくまで「分配」であって「再分配」ではどうもなさそうなので、富の再分配や所得の移転といった本当の社会主義政策が実現することはないと思われる。

そんな時だからこそ、野党の存在意義が求められるのだけど、選挙前から一本化のドタバタ劇が繰り広げられているようで期待薄なのが実情だ。
そもそも旧民主党系の政治家もまた、過去の反省や検証を蔑ろにしている連中ばかりなので、そんな彼等に国政を託す気になれないのは当然とも言える。
結局のところ、第2次安倍政権が誕生して以降、いわゆる中動左派がぽっかりと抜け落ちたまま*1有権者の間で政治(家)不信が募り、無党派層に流れていったのが日本の政治状況なんだろうね。
ただ、そういった有権者の反応も健全だとは言えるものの、悲しいかな現行の小選挙区制においては、与党を利することでしかない。
投票率が下がれば、少ない得票率でも国政を牛耳ることができちゃうのだから。
今の自民党がそうであるように、有権者の僅か4分1の得票を得ただけで、国会の単独過半数を占められるのはどう考えても不健全でしょ。

そんな訳で、コロナ禍によってこれまで以上に政治が国民生活に直結する事態となり、否が応でも選挙に関心が集まるようになるとは思うけど、現行の選挙制度下では必ずしも民意を反映した結果とは成り得ないので、少しでも民意に近づくように投票率が上がることに期待するしかないだろうね。
少なくとも投票に行かないということは、自公政権白紙委任することと同じ意味を持ちうることは自覚しておく必要があると思う。

ちなみに、穴ぼこオヤジのここ最近の投票行動はというと、白票か鼻をつまんで野党に入れてきたのだけど、前回の参院選は、一刻も早く日本をぶっ壊してもらうために、生まれて初めてあえて自民党に投票してみたら、本当に日本がぶっ壊れちゃった。

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とはいえ今回の選挙も、まぁ現実的には与党が勝つのだろうけど、せめて健全な国会運営が行われる為にも、自民党単独過半数だけは与えるべきではないと強く思う。
恐らく、その攻防が、現状維持なのか社会主義政策への変革なのかの分かれ目となる選挙になるんじゃないかな。
果たして、空洞化した中道左派の陣取り合戦を制するのはどこの政党になるのだろうか。

なんだか色々書いていたら収拾がつかなくなってきたので、最後に共感を覚えたネット記事を転載しておくことに。

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 安倍・菅政権では、森友学園問題や日本学術会議問題など説明しない政治が続いた。衆院選ではその是非も問われることになる。


 「政治に関心が薄い人は、安倍・菅政権のやらかしてきたことはあまり重視しないと思います。公文書の改ざんや破棄などが厳しく追及されている時でも、安倍さんは選挙に勝ってきたからです。間違ったことをしているのに、それを許してきた国民にも相当責任がある。一方で、安倍政権があれだけ続いたのは、旧民主党政権の『素人政治』への反動という面もあります。その後も野党はだらしなく見える。多くの国民にとっては民主主義の危機より、今日の生活、明日の給料が大事。コロナ禍で生活を安定させてくれるのはどの党かを見定める選挙になるのではないでしょうか」


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*1:自民党ではハト派が駆逐され、社民党は自滅、立憲民主党は保守を自認し、国民民主党ネオリベを志向し、共産党は腐っても共産党だし、でもって令和新撰組は党名からしてバリバリ保守