穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

浮世絵ノスタルジア

3月初旬、町田の国際版画美術館でちょっと気になる企画展があって、しかも開催初日が入場無料というおまけ付きだったので、穴ぼこ嫁を誘ってすかさず見に行っておりました。

吉例浮世絵大公開! 江戸ノスタルジア
明治の幕開けにより、新しい西洋の文化が入り込んだ「江戸」は、徐々にその姿を「東京」に変えていきました。人びとは文明開化の波を新鮮に感じる一方で、旧幕府時代を批判的に捉えた新政府の態度や社会の変化には戸惑いも感じていたようです。
明治22年(1889)には旧幕臣による「江戸開府三百年祭」が開催され、江戸への郷愁も高まっていました。
こうした人びとの心情に寄り添うように、明治22年前後の浮世絵には「江戸」を題材にした例が多くみられます。自身も旧幕府軍として戦った経験のある楊洲周延(ようしゅうちかのぶ)は、代表作『千代田之大奥』などで、かつては描くことのできなかった大奥や江戸城の様子を描いています。明治を代表する浮世絵師、月岡芳年(つきおかよしとし)は、『風俗三十二相』シリーズにおいて、江戸美人の姿に往時への追憶を込めました。
1868年の明治維新から、もうすぐ150年が経とうとしています。本展では「明治時代に描かれた江戸」という視点から、江戸時代について、また時代の変わり目に生きた明治の人びとについて思いを巡らします。

展覧会概要より

ノスタルジアというと、つい今の時代から過去を顧みる視点になりがちだけど、明治時代の人々にとっても、江戸時代を懐かしむことはあった訳で、まさに江戸文化の遺産とも言える浮世絵を通して、明治から江戸を顧みようという、なかなかにユニークな企画展。
江戸時代にはご法度だった大奥の様子だったり、西洋文化に染まっていく人々の様子を浮世絵で表現している辺りが実に興味深く面白かった。



絵を観ながらふと思ったんだけど、江戸時代以前の美人というと、決まって面長に切れ長の目が象徴的に扱われるけど、それって、実は当時の美人を描いていたのではなくて、平面的な表現手法に長けた浮世絵に映える顔を描いていただけのような気もする。
それこそ、日本人否、人間離れした穴ぼこ嫁の顔なんて、浮世絵で表現するのはどう考えても不可能だもんねぇ(笑)
って、別に穴ぼこ嫁が美人だと言うつもりではないのだけれど...






血みどろな描写や妖怪など、過激で風変わりな作風で人気を博し、最後の浮世絵師とも評される月岡芳年
なんとなくうろ覚えはしていたのだけれど、目の前の浮世絵とおぼろげな記憶が思いがけず繋がって、ちとびっくり。




穴ぼこ嫁がどこかに紛れてる?




徳川家を浮世絵で描くのは禁止だったとは知らなかった。
それだけ江戸の社会において、浮世絵が与える影響が大きかったという裏返しでもあるんだろうね。





ちなみに断っておくと、これらの写真は決してこっそり撮ったんじゃなくて、実は自由に撮影できる企画展だったんだよね。
考えるに、都心の有名な美術館なんかであれば、いわゆる世界的名画なんかを展示した話題の企画展でもって動員を目論むのだろうけど、やはり町田のような場末の美術館では無理からぬ話な訳で、いやでも、だからこそ知恵を絞り、ユニークな視点だったりで、個性豊かな面白い企画展示が行われる辺りに、穴ぼこオヤジとしては、むしろ魅力を感じちゃうよね。
そんな美術館が自宅から歩いて数分の所にあるというのは、ある意味贅沢な話だよなぁ。