穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

ロックが壊れた?

月刊音楽誌「CROSSBEAT」次号をもって休刊

シンコーミュージック・エンタテイメントの月刊音楽誌「CROSSBEAT」が、9月18日に発売される2013年11月号をもって休刊することが明らかになった。
CROSSBEAT」は1988年に創刊され、先日創刊25周年を迎えた。定期刊行誌としては一旦休刊するが、今後は不定期でムックや書籍刊行を行い、情報発信についてはWEBに移行する予定とのこと。また夏フェス特集や年末の年間ベストセレクション特集など、「CROSSBEAT」恒例の企画は今後もムックの形で継続していく。

=ナタリーより引用=

個人的にちと残念な音楽系のニュース。
まぁでも、冷静に考えてみれば、むしろ今までよく続いたと思う方が妥当なのかもしれないね。
というもの、凋落の一途を辿る不況ビジネスのツートップと言っても過言ではない音楽業界と出版業界において、まさにその二つを掛け合わせたのが音楽誌な訳で、そら相当厳しいのもがあっただろうなぁと想像してみる。
でもって、音楽誌に公私共にお世話になった身としては、なんだかやるせない気持ちで一杯。

当時、ロック系の音楽誌というと「ロッキング・オン」が主流だったんだけど、穴ぼこ的には、やたら活字でロックを語ろうとするこの雑誌があんまり好きじゃなかったので、レコードレビューが充実していた「クロスビート」の方をよく読んでいたっけな。
でもって、レコードレビューの採点を参考にしながらレコードやCDを買い漁ってた記憶も(笑)
なにしろ、あの当時は、試聴機はおろか、レコード屋に今のようなレコメンドカードなんてのも無かった時代なので、音楽雑誌で情報を仕入れて、レコード屋に通うしかなかったからね。
そういえば、ふと思ったんだけど、今でもジャケ買いする人っているのかなぁ(笑)
てか「ジャケ買い」って、どの世代まで通用するワードなんだろう?

で、あれから数十年経った今では、むしろ、ジャケ写はおろか、色んな音楽情報がリアルタイムで溢れかえってるような時代になってしまった訳で、タイムラグを抱え、情報に限りがある音楽誌では、どうにも太刀打ちできなくなるってもの、そら当たり前の話なんだよなぁ。
考えるに、音楽情報だけでなくて、いわゆるIT革命によって、音楽に関するコンテンツそのものが安価に溢れる時代になってしまった訳で、これまでの価値を維持することが出来なくなって、言わば値崩れを起こしてしまったということなんだろうね。
それこそ話を広げちゃうと、現在の世界的な不況って、IT革命で失われた価値や労働が引き起こしている側面も大きいと思う。

音楽の話に限れば、今や音楽誌はおろか、レコードショップや音楽スタジオとか、更にはスタジオミュージシャンに音楽ライターなんかホント商売あがったりの時代だもんね。
ロッキング・オン」に至っては、今じゃ音楽フェスの会社になってるし(爆)

んな訳で、多感な時代を音楽と共に過ごして今に至る穴ぼこオヤジとしては、こうして、当時の音楽の価値感が失われていくのを見るのは、まるで自分の血や肉が失われていくようで、なんとも切ない。
まぁ、実際はどんどん贅肉がついてるんだけど...(爆)

最近の音楽がつまらないなぁと感じるのは、決して懐古主義とかじゃなくて、音楽そのものがコンビニエンスなものになっていった分、音楽の持つ文化的価値だったり創造性が希薄になってきたからなのだと、穴ぼこ的には思うんだよね。
結局のところ、音楽に限らず、人が作り出すモノには、手間をかけ知恵を搾るからこそ創造性が生まれ、そして文化が宿るのだと思うのだけど、それが誰でも簡単に出来るようになってしまっては、安価で魅力の無いモノが増えるのも、ある意味当たり前の話。
とはいえ、利便性や合理性を求めることが決して悪いとは言わないけど、そういったイノベーションが文化を駆逐しているのだとしたら、人が生きる価値をも失いかねない訳で、それはあまりに皮肉な話になっちゃうよなぁ。

CROSSBEAT (クロスビート) 2013年 11月号