ライブ続編

リビングルームを熱狂の渦に巻き込んだアシダカグモのゲリラライブ翌日。
2回目のパフォーマンスが早くも訪れます。

日中、パソコン部屋で作業をしていると、なにやら窓に物陰が...！
相変わらずお客をドキッ！とさせる登場だなぁ（笑）
で、早速、即席虫かごを持って臨戦態勢に入る店長。
一方、相変わらずメリハリの利いた素早いステージングを見せつけるアシダカグモ。
でもって、何度も追い詰める店長と、色んな楽屋に逃げ込むアシダカグモのご両名。

そんな、いたちごっこが延々と続く中、最後はライブハウス最大の楽屋でもある、玄関脇の納戸に完全撤収を決め込むアシダカグモ。
こうなってしまうと、さすがの店長と言えども、中々簡単には手出しできません。
でもって、そんなアシダカグモのゲリラライブにかける情熱に根負けしたのか、半ば諦めモードの店長。
ということで、しばしの水入りとなりました。

そんな店長の心を折れさせるパフォーマンスを見せつけたアシダカグモクンですが、調べてみると実は中々味のあるミュージシャンであることが判明。
とにかく相当に臆病なようで、人影に驚いては素早く走り回っちゃう分、余計に人々の恐怖心を煽ってしまい悪循環にハマることしょっちゅう（笑）
でもって、スタミナはかなり無いらしく、追い掛け回すと、そのうち動きが鈍くなって捕まえやすくなるのだとか。
一方、食欲は旺盛で、ゴキブリなんかも片っ端から料理してくれるので、本来は人間界にとってはありがたい生き物のはずなんだけど、そのあまりに個性的なパフォーマンスによって、お客さんの受けはいつも最悪。
更には、食事中でも目の前に動く餌を見つけてしまうと、ついそっちの方が気になっちゃって、食卓を放り出して追いかけてしまう、お茶目な一面も持ち合わせてます。
って、なんて憎めない奴なんだ！（笑）

とはいえ、風情のある古民家であれば彼のステージングもまた絵にもなろうが、白いクロスの壁にフローリング床のマンションでは、あまりに違和感丸出しで、やはり見逃す訳にはいかないよなぁ...
など思案していると、嫁が仕事先からご帰還。
すると、ここぞとばかりに、洗面所から出てきた嫁にご挨拶を交わす律儀なアシダカグモ。
と、叫ぶ嫁。
やはり受けは悪いようです（笑）

そんな彼の生き様に、妙な親近感も芽生え始め出した矢先。
意外にもあっけなく別れの時が訪れます。

嫁と買出しから家に戻って玄関のドアを開けてみると、店長が不在なのをいいことに、辺りを徘徊していたアシダカグモくん、慌てて靴陰に身を隠します。
と、ここはチャンスとばかりに、即席虫かごと新たに必殺うちわを持ち出してきた店長。

そしてアシダカグモが動いたその瞬間、玄関のドアに向かって店長がうちわをひと扇ぎ。
すると、風向きに逆らって生きるほどロックではなかったアシダカグモくん、ドア方面に吹き飛ばされながら一目散に駆け出します。
そのまま玄関のドアを開けて待ち構えていた嫁の目前をダッシュで通り過ぎると、ライブハウスを背にマンションのエレベーターホールへと消えて行きました。

さようなら、アシダカグモ。
そして、グッジョブ嫁！

そんな訳で、結婚生活史上、最大とも言える夫婦の共同作業によって、都会の闇の中に消えていったアシダカグモくん。
最後のライブパフォーマンスを二人で見届けることができ、おかげで夫婦が一つになれた気がしました。

ありがとう、アシダカグモ。
そして、達者で暮らせよ！
都会の荒波に負ける事無く、我が家以外でライブパフォーマンスを続けるんだぞ！
てか、戻って来るんじゃねぇぞ！

と、最後は親心？まで沸きだして、アシダカグモにエールを送る、いい気な店長。
しかしホント、奴は一体どっから入ってきたんだ？