穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

政治が医療を阻む?

もういいやと思いつつも、日々アップデートが止まることなく、凄まじいスピードで情報が更新されていく新型コロナのニュースに接し、ブログに書き記さんとする妙な使命感に突き動かされている穴ぼこオヤジ。
しかも、時間の経過と共に事態の深刻度は増すばかり。
ついこの間まで日本の新型コロナの対応に世界の注目が集まっていたかと思えば、遂に欧米でも急速に感染が広がる事態となり、今や日本の存在など忘れ去られるくらいの勢いだ。
それこそ、対応が後手に回っていた安倍政権が逆風にさらされてる間に、それ以上のスピードで欧米を感染の嵐が襲い掛からんとしている。
とはいえ、日本の状況が良くなったのかと言えば、無論そんなことはなくて、ただ単に世界の関心を失っているに過ぎないのだけど...

例えば日本国内の感染者の死亡率を見てみると、件のクルーズ船では約1%だった数値を上回る3.5%程度にまでなっている。
つまり、死亡率に限っては、失敗例と言われるダイヤモンドプリンセス号よりも、日本国内の感染状況の方が悪いということになるのだけれど、なんのことはない、全員を検査対象としたクルーズ船と、検査に障壁を設けている国内とでの検査対応の違いが、そのまま数字となって現われているだけの話なのだ。
即ち、少なくとも現在発表されている日本国内での感染者数は、最低でもその3倍はいると思われ、水面下では感染が広がっていると考えるべきだろうね。
まさに、これまで穴ぼこブログで言い続けてきたことが現実となりつつあることに憤りしか感じないけど、今に至る政府の対応しかり、実際に問い合わせてみて分かったコールセンターの対応しかり、感染の拡大を本気で防ぐつもりがないことだけは確かなので、事態は引き続き悪化の一途を辿っていくことになるのだろう。

www.cbnews.jp

そういえば、学校の一斉休校措置について、ちょっと前にどこかのワイドショーで、大学だか研究施設でAIを用いて検証してみたところ、感染防止にはなんの効果も得られなかった結果が出ていたことを放送していた。
そらまぁ、学校を休校にすれば在宅率が上がり、家族間の感染を増大させるリスクが増すのは当然な訳で、素人目で見ても科学的根拠を欠いた愚策であったと言わざるをえない。
当の安倍首相も、国会で一斉休校措置の根拠を示すよう何度も追及されていたけど、案の定、情緒に訴えるだけで、結局のところ今の一度も示してはいないんだよね。

何が頓珍漢って、政府も専門家会議もクラスター対策に躍起になっている姿勢を見せてはいるものの、そもそもクラスターを発生させる恐れのある感染者を見つけ出す検査体制を敷いていないのだから、こんなにも安倍こべな話はないと思う。
その検査にしても、保険適用と検査体制の強化を行ったとしているけど、検査数を抑制する流れは何一つ変えていないので、結局のところ、官僚様お得意の、忍法「既成を緩和しているように見えて実態は何も変わっていない目くらましの術」でしかない。
しかも検査能力のキャパシティを増やしているはずなのに、それほど検査数は増えていないという摩訶不思議。

www.cbnews.jp


検査数についてはこんなニュースもあったね。

news.biglobe.ne.jp

医学に携わる人なら、エビデンスの確立、即ち、検査数を増やすことは必須条件な訳で、専門家なら政府の対応を追認するのではなくて、検査体制の不備を指摘し改善を促すことが責務だと思うのだけどね。
これじゃ御用学者と言われても仕方がないよ。

一方の御用タレントの皆さんは安定の通常営業。

hochi.news

本来、検査拡大の目的とは、エビデンスを増やすこと、即ち感染の実態に近づくことで、感染拡大の阻止と感染者の重症化を未然に防ぐのに有効な対策を講じるための手段なのだけどね。
検査の精度の問題を、検査の有効性の疑義にすり替えるだけでなく、政府にも煙たがられているライバル番組にもいちゃもんをつけるとは、見事な仕事っぷり。
さすがは自称評論家でトリックスター芸人だけのことはあるね。


blogos.com

一方こちらは、あからさまにミスリードを誘い過ぎている感も。
話の冒頭から、検査の拡大を、希望者全員への検査拡大に話をすり替えちゃっていて、ひっかけ問題にすらなっていない。
少なくとも、テレ朝のモーニングショーでは、希望者全員を検査すべきというスタンスを取ってはいないのだが。

最後に親玉自らが発したフェイクニュースも。
安倍内閣総理大臣記者会見 | 総裁記者会見 | 記者会見 | ニュース | 自由民主党

WHO(世界保健機関)が今週、パンデミックを宣言しましたが、人口1万人当たりの感染者数を比べると、我が国は0.06人にとどまっており、韓国、中国のほか、イタリアを始め、欧州では13か国、イランなど中東3か国よりも少ないレベルに抑えることができています。


結局のところ、感染者を過小に見積もりたいのが安倍政権の本心なのだと思う。
今に至っても検査の拡大を図ろうとしないのも、東京五輪に対する安倍首相の拘泥(小池東京都知事にも言える)が大きな要因であることは、もはや疑いようもない。
そもそも、検査体制やレギュレーションの異なる各国の感染者数を横並びにして日本の優位性を示すこと自体が、信用を損なう言説でしかない訳で、総理自らフェイクニュースを撒き散らし、国際的な信用を貶めるとは、ことほど間抜けな話は無いよね。


www3.nhk.or.jp

とはいえ、世界の趨勢はオリンピックの延期か中止の方向に流れていて、もはや感染者を過小に見積もるメリットは失われつつあり、むしろデメリットの方が上回るリスクの方が高そうなのだけど、果たして政府はいつまでこんなフェイクを続けるつもりなのだろうか。

と、あれこれと思案すると、もう一つ厄介な理由を抱えていることに気付いてみた。
というのも、新型コロナウィルスを早い時期(2月1日)に指定感染症とする法的な対応を取っているのだけど、これは、感染が発覚した患者に対して、措置入院を含めた強い権限を課して感染の拡大を防ぐことを目的としていた訳なんだけど、現状の流行期思しき今となっては、検査の拡大によって大量の感染者が明らかになってしまうと、措置入院を行う患者が一気に増えてしまい、途端にベッド数の供給不足に陥り、医療崩壊を招きかねない足かせになってしまっていると考えられるんだよね。

であるならば、指定感染症から新型コロナを除外して、検査の拡大に備えた新たな対応策を講じれば済みそうな話なのだけど、危うさを孕む緊急事態条項を盛り込んだ「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を立法したいがために、新型コロナが指定感染症であることを法的要件にしてしまっているので、今更、指定を外して検査の拡大を図る訳にもいかないというのが、本当の所のような気もするのだけど、どうだろう。

でもって、そんな思惑を覆い隠すためか、どうも最近の報道やワイドショーでは、政府に批判的な専門家の出演や検査の拡大を求める論調が封じ込められているような動きも。

hbol.jp

ただ個人的に難しいなと感じるのは、こと感染症に至っては、科学的、医学的な正しさと政治的、社会的な正しさが、必ずしも一致するとは限らず、場合によっては利益相反をもたらすトレードオフの関係になりえてしまうというころ(政治的圧力の言説が飛び交いやすい要因にも)。
それこそ社会活動を止めれば感染を止めることもできるけど、現実的には不可能な話でしかないし、安倍首相の休校措置にしても、医学的には効果の無い愚策であったとは思うけど、国民に強いメッセージを伝える社会的な意味では一定の効果はあった訳で、医学と政治のバランスをどう取っていくのかは、今まさに世界各国の首脳が頭を悩ませているところでもあり、日本国内でいうと、各自治体の首長それぞれの政治的な手腕が問われるところでもあるんだよね。

ただし、こと安倍政権に限っては、医学的根拠を示さない態度や記者会見でも注目された情報公開に後ろ向きな対応など、客観性を担保しようとはせず、また、オリンピック向けに感染者数を矮小化したり、性急な特措法の成立など、バイアスの掛かった政治姿勢を終始優先していて、かような国民の健康を置き去りにする政権運営が続けば続くほどに、事態も悪化していくことは火を見るよりも明らかだろう。
そういった意味では、無能な政権のお蔭で日本の今後は各自治体の首長に委ねられているとも言える訳で、実際、自治体による感染対策では、その対応や結果に様々な濃淡が現れてきているのは興味深いところ。

www.tokyo-np.co.jp

www.sankei.com

つくづく思うのは、この新型コロナウィルスってのは、嫌というほどに、これまでの社会や政治の歪を浮かび上がらせてくれる存在なんだなぁということだ。
そう考えると、天災のようでいて、実は人類のおごりがもたらしている人災なのかもしれない。


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