穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

音質効果

オーディオマニアというほどではないけれど、音にはそれなりの拘りがある穴ぼこ生活。
要は、音質に関する聴覚が妙に敏感な方なんだと勝手に思い込んでいる次第(笑)
だもんで、かつてのMDしかり、今のiPODしかり、いわゆるCDクラス以下の圧縮音源を聴いてると、どうにもストレスを感じてしまうんだよね。

んな訳で、圧縮音源に聞き慣れて育った世代からすれば、iPODの音には、なんら違和感も感じないのだろうけど、こちとらアナログレコードを聴きまくって育った世代の人間からすると、昨今の音楽事情ならぬ音質事情には、どうにも受け入れ難いものを感じちゃう。
同じようにストレスを感じている輩は、果たしてどのくらいいるのかなぁ?
で、つい最近、そんな輩の心を打ち砕くニュースが飛び込んできた。

名門・山水電気が経営破たん
名門音響機器メーカーとして知られた山水電気は2日、東京地裁民事再生法の適用を申請した。
負債総額は2億4765万円。「SANSUI」ブランドのステレオアンプなどを展開していたが、バブル崩壊による販売不振やデジタル化の波に乗り遅れ、音響機器製造は1999年頃に事実上、撤退していた。01年から香港の投資会社の支援を受け、音響機器修理などを手掛けていたが、投資会社が昨年5月に倒産し、資金調達のめどが立たなくなったという。
 東証1部上場だが、従業員は現在5人だった。東京商工リサーチによると、上場企業の倒産は半導体大手エルピーダメモリに次いで今年2社目。
 山水は44年、電圧の変換機器製造を目的に創業した。62年に発売したセパレート型ステレオがヒットし、84年の売上高は525億円だったが、99年には46億円に落ち込み、債務超過になっていた。

(2012年4月2日19時34分 読売新聞)

ほとんどの人にとっては「どこの会社?」って話なんだろうけど、
オーディオ好きの人間にとっては、涙無くしては聞けない知らせ。

そう、プリメインアンプといえばサンスイというぐらい、かつてはオーディオの分野で一時代を築き、当時の穴ぼこ少年にとっても垂涎モノだったオーディオメーカー
今から遡ること20数年前、秋葉原の電気街に通っては、羨望の眼差しで、いじくり回していたのをよく覚えております(笑)
まだリモコンすら無かった時代なので、ダイヤル式コントローラーを手で回しては、一々重量感を確かめてみたりしてました(笑)
なぜかって?
実は、ボリュームを回した時に重厚な感触が伝わってくるアンプが、高級品の証だと言われていたから(笑)
それこそ、わざわざコントローラーを外して、中の空洞部分に錘を詰めてカスタマイズするオーディオマニアが、いるような時代だったからねぇ(笑)
そういえば、高校の友達に、自慢のオーディオにスイッチ入れる時に、わざわざ白い手袋ハメていた奴がおりました(笑)

そんな、オーディオ熱にうなされていた当時、喉から手が出るほど欲しかったサンスイのアンプではあったんだけど、良いアンプを使うとなると、実は良いスピーカーで聴かないと、アンプの能力を生かしきれないことになってしまう。
しかもそうなると、プレーヤー機器も良い機種にしないと、これまた宝の持ち腐れに。
ということで、つまるところ、膨大な予算がかかることになり、穴ぼこ少年にしてみれば、結局高嶺の花でしかなかったんだよなぁ(笑)

まさか、そんな憧れの的だったサンスイが倒産するとは...
時代が変わったと言ってしまえばそれまでだけど、音の拘りまで否定されたかのような感じがして、なんだか切ないね。
近年は既に会社としての実態は無かったらしく、マネーゲームに翻弄されての倒産という末路を辿ったようだけど、最後の従業員がたったの5人ってのも、更に涙を誘います。

そんな訳で、ひょんなことからサンスイの名前を聞いちゃったもんで、オーディオに熱をあげていた当時の思い出が色々と蘇ってきちゃった(笑)
せっかくなので、サンスイを偲びつつ、当時のオーディオの話でも。

あの時代、オーディオへの憧れを今再び エイ文庫

あの時代、オーディオへの憧れを今再び エイ文庫

まさに、サンスイ同様、カセットテープが主流だった時代。後に、オートリバースという画期的な機能を持ったカセットデッキプレイヤーが市民権を得ることになるのだけど、ご存知?

簡単に説明すると、カセットテープには、A面とB面の2系統にそれぞれ再生や録音が出来るようなっているんだけど、当初のプレイヤーだと、A面からB面を聴くには、一端カセットテープをプレイヤーから取り出して、表裏を引っくり返してから、またセットしなければ聴けない仕組みになっていたので、カセットテープを聴くにもなにかと面倒だったのです。

で、その手間を省く為に開発されたのが「オートリバース」という機能。
仕組みは至って簡単で、カセットテープに録音されている磁器データを読み取るヘッド部分が、180度回転する構造になったというもの。
つまり、A面からB面を聞こうとすると磁器ヘッドが自らが回転してくれるので、わざわざテープを取り出して引っくり返す手間が不要となり、ボタン一つでどちらも不自由なく聴けるようになったのです。
でもって、こりゃ便利だということで、瞬く間に、オートリバース機能がついたカセットデッキプレイヤーが主流となりました。

ところが、オーディオマニアの間からは、この便利なオートリバース機能を敬遠する向きが起こります。
というのも、このオートリバース機能。ヘッド自体が回転する仕組みになっている為、回転する度にテープとヘッドの接地面に僅かなズレが生じやすくなり、結果、音質に悪影響を及ぼすと言われ、それ以前のヘッドが固定されているカセットデッキの方が、音が良いと考えられていたのです。
ちなみに、穴ぼこ少年はというと、そこまで面倒な思いをしてまで音に拘る気はなかったので、オートリバース機能がついたカセットデッキの中で、当時最高位のメーカーと言われた「AKAI」のプレーヤーを頑張って買って使っとりました。
って、いやぁ懐かしい〜!


高校生当事に使っていた、自慢のオートリバースのカセットデッキ

で、とあるオーディオ機器メーカーがそんな、音質にとことん拘るオーディオマニアの要望に応えるべく、これまた常識を覆す画期的なリバース機能を持ったカセットデッキプレーヤーを発売することになります。
この機種、未だに覚えているけど、秋葉原で始めて見た時は、マジで絶句しました(笑)
では、その素晴らしい機能とやらをご覧下さい。※30秒頃から要注目!

おわかりいただけたでしょうか?
実に恐れいっちゃいます(笑)
逆転の発想というか、ただ単に基本に帰ったというか、カセットデッキ自らテープを引っくり返してセットしてくれます。
う〜ん、手の平を返すとはこのこと?
まさに禁じ手のようなリバース機能(笑)
てか、そうまでして商品化しちゃう?
ハイテクなんだか、ローテクなんだか、さっぱり訳わからん(笑)
んな訳で、これ、オーディオマニアの間では語り継がれる珍品となりました。
ちなみに、これを作ったナカミチというメーカーもまた、拘りのオーディオ製品を手がけていた会社で、こちらはサンスイよりも一足先に倒産しております(泣)

で、このオートリバースなんだけど、最終的には、磁器データを読み取るヘッドを回転させる代わりに、ヘッドの電極を入れ替えることで、ヘッドを固定したままの再生を可能にした方式が編み出され、後のウォークマンなんかで広く普及するところまで、進化を遂げることになります。
って、オートリバースの歴史なぞ、今となっては無駄話でしかないよなぁ...

思うに、時代はアナログからデジタルに代わって、オーディオに求められる要素もどんどん変貌し、かつてと比べると便利になってきたのだろうけど、一方で、音への拘りも淘汰されたというか、失われていってるような気がするのは、ワタクシだけ?
アナログ時代の無駄な手間暇には、実は何らかの意味や魅力が一杯潜んでいたように思うんだよね。
映画なんかでも、CGを多用した後期のスターウォーズ作品よりも、ミニチュアを使って実写合成していた初期のスターウォーズ作品の方が、はるかに臨場感に溢れてた感じがするのだけど...
それって、もはやオッサンの単なるノスタルジーでしかないのかなぁ?