正当化の歪
穴ぼこオヤジが安倍政権を全く信用も支持もしていないのは、政治を私物化し、あらゆる手を使って自らの正当化を図ろうとする、政治姿勢そのものが信用に値しないからだ。
つまりは、国民の主権を侵害し、国民の知る権利を妨害する、まさに民主主義の根幹を破壊する行為そのものであり、それを平然と、いや、もしかして無自覚にすらやってのけてしまう、政治的、社会的モラルの著しい欠陥しか感じられず、政策や政治信条以前に、政権を担う資格、能力そのものが無いと思っている。
過去をさかのぼれば、そら酷い政権は存在してきたであろうけど、民主主義の根幹をあからさまに壊してまで政権運営に固執するという点では、安倍政権は、歴代の政権とは一線を画した存在なのだと言えるだろうね。
僕らは民主主義の中で生きているけど、安倍政権は民主主義の外で生きているということだ。
即ち、反安倍とか親安倍とかのカテゴライズはナンセンスで、民主主義そのものの是非が問われているのだと思う。
そんな訳で、国民と安倍政権の間には、埋めようのない歪が横たわっていて、今回の新型コロナウィルスによる国家危機によって、その歪が露わになっただけの話なのだと思っている。
安倍政権が繰り出す新型コロナの政策が、的外れな上に、ことごとく後手に回っているのも、国民生活を守ることよりも露わになった歪を覆い隠すことに囚われてるからであり、彼らが政権の座に留まり続ける限り、国民の安心と信頼を損なう愚策を連発していくことになるのだろう。
それにしても安倍政権の危機管理能力の低さは想像を絶するレベルだと思う。
今現在、新型コロナによる国家危機であることは勿論のこと、政権にとっても、国民からの信頼が失われつつある政府の危機でもある訳で、恐らくはかようなイメージの回復を狙ってのコラボ動画だったと思うのだけど、まさに国民と安倍政権との間に横たわる歪をより鮮明にすることにしかならなかった。
そして更に、その歪を広げることに余念のない菅官房長官。
一連の政治疑惑はともかくとしても、昭恵夫人の花見騒動しかり、素直に非を認めて真摯に反省の態度を示しておきさえすれば、そこまで非難を浴びることもなかっただろうし、むしろ信頼度がアップする可能性すらあるのに、あらゆる不正や疑惑を権力で正当化してきたことで安倍政権が築いてきた絶対正義に、自ら縛られてもはや首が回らなくなってしまっている。
今回のコラボ動画にしても、例えば、総理の立場として配慮が足りなかったことを率直に詫びた上で、外出の自粛を促すのと国民がリラックスできるようなメッセージを総理自ら発したかったつもりだとか言って、真摯な姿勢を示して、最後に国民の声を広く聞くために「良くないねボタン」を作ることも検討するみたいなジョークでも言っとけば、恐らくここまで国民の反感を買うことはなかったと思うのだけど。
ちなみに、なんちゃって元音楽業界人としては、権利関係のクリアランス（権利処理）がどうなっているのかも気になったところ。
作者の星野源自ら自由に使って構わないとしているので、権利をフリーにした楽曲か、もしくは管理楽曲であればインスタ内での利用許諾がなされている扱いの可能性が高く、法的に問われることは無いと思うけど、ただ、いくら自由に使ってよいとはいえ、公人中の公人、それも一国の総理大臣が、ましてやオフィシャルアカントを使った単なる政府広報としての利用のみならず、非常時における重要な政治的メッセージとして利用した訳で、こんな重大な使い方を、作者本人や所属事務所、音楽出版者等に無断でおっぱじめちゃうのって、著作権云々以前のレベルというか、あまりに無知、無責任な話で、理解に苦しむよ。
元より、著作権の保護をより強化しようとしている立場の政権与党の最高責任者が、よりによって新型コロナ対策から見放されているような存在となっているミュージシャンの善意と楽曲を、タダ乗りで政治利用しちゃってんだから、これほどまでに、ミュージシャンへの敬意を欠き、権利意識の欠片も感じさせない態度は無いと思うね。
まさに、これぞ政治の私物化の極み。
これらを見渡して思うのは、非を認めることなく、正当化に固執する政権が、果たして答えの見えない新型ウィルスの国家対策などできるのだろうか。
そんな訳で、非や誤りがあれば、それを認めて改めれば前に進むこともできるけど、安倍政権のように、非を認めず正当化したり誤魔化したり、そもそも非が存在しなかったように振る舞えば、無駄に時間と労力を費やす羽目にしかならないんだけどねぇ。
国会の中であれば権力で強引に突き進むことができた（犠牲者を出しているけど）かもしれないけど、今は新型コロナによって、安倍政権が国民と直接向き合わなければならない緊急事態な訳で、彼等の絶対正義がこの状況下では一切通用しないことにいい加減気付けって話だ。
う～ん、だめだこりゃ、やっぱり気付いていない。
もはやここまで来ると哀れだ。
そして、そんな哀れな政権の国民はもっと哀れだ。
そんな中、安倍昭恵夫人の暴走が伝わってきた。
こんなことなら、閣議決定で公人にしとけば良かったのにねぇ。
しかしまぁ、ここまで無自覚で無責任なファーストレディとは恐れ入った。
ほんのちょっとだけ、安倍晋三を哀れに感じちゃったよ。
今度ばかりは、正当化のハードルは高いぞ。
