穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

不安のパンデミック

ノンポリでお気楽なブログでありたいのに、新型コロナウィルスを通じて、もはや後戻りできないような政治や社会の劣化をまざまざと見せつけられる事態に、どうにもキーボードに向かわずにはいられない穴ぼこオヤジ。
ましてや、東日本大震災の時と同じか、下手をすればそれ以上の社会危機が訪れるかもしれないのに、国のトップの危機意識の欠落こそがむしろ日本社会にとっての最大の危機なんじゃね?というもはや安倍こべな顛末。

そんな訳で、そもそも穴ぼこブログを始めたのも、東日本大震災を受けて、自分の存在意義を確かめてみようと思ったのがきっかけでもあるので、再び訪れようとしている社会危機を前に、世の中に対する自分の考察を記しておこうと思っている次第。

ということで、大震災以来、政府の失態や疑惑が露わになると、必ずや御用学者とネット脳に侵された連中がボウフラのように湧いてくるのがもはや風物詩となっているけど、ご多分に漏れず今回、気になったネットニュースがあったので、ちとマーキング。

headlines.yahoo.co.jp

明かにミスリードを狙っているとしか思えない記事。
取材を受けた専門家の坂本史衣氏とBuzz Feedの記者、どちらの意図なのかは定かではないけど、今問題となっているのは、患者ではなく医師が検査を希望しても受けられないケースが多発してることへの疑問であって、この記事はそれにはまったく応えず、多数の患者が希望して行われる検査の有効性を否定することを論拠に、過小な検査の現状を容認し、矮小化を陰謀論として退け、メディアや専門家の指摘をスルーしようとしている。
更に面白いことに、ヤフトピのコメント欄には、この記事を称賛するコメントで見事に埋め尽くされている一方で、転載元のBuzz Feedの本記事でのコメントには、むしろ記事内容への批判や疑問を呈するコメントが書き込まれてたりする逆転現象も。
いやはや、ネトサポの皆さま、ご苦労様ですとしか言いようがないけど、リテラシーや多少の読解力があれば、今回の記事が一面的な暴論であることは一目瞭然なんだけどねぇ。

news.yahoo.co.jp

一方、こちらは同じ専門家でありながら、坂本史衣氏とほぼ真逆の主張をしている上昌広医師に言及しているヤフーのブログ記事。
少なくとも、今回のBuzz Feedの記事は、上医師の指摘に応える内容になっていないことは確か。

で、あくまで、素人考えだけど、新型感染症に対して、水際対策を開始した初動体制の時と、散発的な感染が見られる流行初期、そして市中感染が起きている流行中期、更には大流行が起きている時期とでは、各フェーズによってウィルス検査の目的や運用が変わってくるのは当然のことと思われる。
大流行が起きている最中に希望者全員の検査なぞしている場合でないのはそりゃ当然の話で、しかしながら、大流行に至るまでの経過を見ていく上で一番重要なことは、初動時から常に感染の実態を把握できる検査体制を整えて、柔軟な運用で対応することであり、感染の実態に近づくことができなければ、流行の段階を見極めることも難しくなり、感染の拡大を防ぐ対策すら立てようもないという話だ。
それこそ、流行期の判別には幅広い対象者の検査数が伴ってこそ実証される訳で、かような実証の有効性を否定してしまうと、重症化した患者へ検査対象を切り替える判断基準すら失うことにもなってしまい、その時点で、Buzz Feedの記事は破綻していると言わざるをえない。

クルーズ船しかり、国内の感染しかり、隣国の惨状を目の当たりにしながら、準備を怠り、感染の実態を把握し損なった初動体制の誤りが尾を引いて、今だ政府の対応が後手を踏み続けているのが実情だ。
ただでさえ桜を見る会を巡って政権への信頼が失墜している最中、速やかにウィルス検査の体制を整え感染の実態を明らかにすることが、唯一と言ってもよい信頼回復の手立てだったはずなんだけど、情報公開に後ろ向きな姿勢を示し続け、指摘や批判には耳を貸さず、自らの正当性を一方的に主張し続ける政権与党の態度に、国民が益々不信感や焦燥感を募らせる展開へと陥っているのが現状なんだよね。

特に驚いたのが、国会答弁でクルーズ船を除いた国内感染の検査数を訪ねた野党議員に対して、加藤厚労大臣は個人情報保護の観点から検査を行う検体については識別をしていないので、正確な数字は答えられないというようなことを返答していて、思わず目が点になってしまった。
でもそれって、言葉通りに受け取れば、厚労省では検査対象の感染の実態を把握していないことになり、厚労省のずさんな管理体制を自ら認めていることになっちゃってるし、仮に把握していたとすれば、今度は情報隠ぺいの疑いが浮上してしまうという、まさに安倍こべな答弁をしていて、呆れる他かなかった。

まさに、国民の知る権利を一顧だにしない政府の対応が、ウィルス検査の運用に関する妥当性に疑義を生じさせている訳で、だからこそ、患者や医師に関わらず検査を拡大して実施を求める声が高まっているのだと思う。

過去のエントリーでも指摘したように、全体の8割とされる症状の軽い感染者の方が、行動範囲が広く、ウィルスを広範囲に媒介する恐れがあるのと、そもそも最初から重症者の患者なぞ存在しない訳で、つまりは流行の拡大を抑止するのと重症化を未然に防ぐためにも、一定程度の症状が見られる患者の検査を幅広く行う意義は、決して低くはないと考えるのだがどうだろう。

そんな訳で、さすがに政府も重い腰を上げ始めたようだけど、もはや焼け石に水の可能性が高く、大流行は避けられない状況だと想像する。
そして厄介なのが同時に訪れるであろう社会的なパニックだ。
既に香港ではトイレットペーパーが不足し、イタリアではスーパーの棚が空になる事態が起きているとの報道もある。
なんちゃって一日本国民としては、流行は避けられないとしても、せめてパニックだけでも避けて欲しいと切に願いたいところではあるけれど、残念ながら何かしらのパニックは起きると想像せざるをえない。

なぜなら、パニックが起きるすべての原因は人々が抱く不安そのものであり、したがって、不安を取り除こうとするならば、信頼に値する情報に接するしか他に手立てはなく、そして、信頼に値する情報か否かを見極めるには、客観的かつ多面的な検証、即ちリテラシーが必要になってくるのだけど、客観性を欠いた言動を繰り返し続け、すっかり信頼を失ってしまった安倍政権に、国民の信頼を取り戻すカードはほとんど残っていないと思われる。
同様に、ウィルス検査を巡る一連の背景を無視した一面的な今回のBuzz Feedの記事もまた信頼に値しないと言え、かようなリテラシーの拠り所を失えば、その先にパニックが口をあんぐりと開けて待ち構えているだけなのだ。

せめて、全ての責任を引き受ける覚悟が安倍総理にあるのなら、少しは光明を見出すこともできるかもしれないけど、天地がひっくり返ってもそんなことはあり得ない訳で、嵐が過ぎるのを待つかの如く、自らの意思を国民に語ることなく、目立たぬようやり過ごすつもりなんだろうね。
そして、その間にも新型コロナウィルスの感染と人々の不安は広がり続けることに。

www.47news.jp

思うに、前回のエントリーで、新型コロナウィルスによって日本社会が崩壊するかもと書いたけど、実は、もう既に崩壊しているのかもしれないね。
いやほんと、悲観的になんかなりたくないけど、この事態を打開する材料があまりにも見当たらず、溜息しか出ない。

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