穴ぼこ生活

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検査体制の崩壊が日本の崩壊を招く?

www.nikkei.com

専門家会議の会見の中で以下のコメントがあった。

厚生労働省クラスター対策班として専門家会議に協力する西浦博・北海道大教授は22日、東京都の感染状況を「鈍化が始まっている」と述べた。


果たして本当に「鈍化」しているのだろうか?
東京都では、新型コロナの感染データを公開している専用のサイトがあるのだけど、ことPCR検査に関しては、実態との乖離が見受けられ、日別データの信頼性は低いと穴ぼこオヤジは睨んでいる。

stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp

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確かに、公開している日別の感染者数がグラフ上では鈍化しているのは指摘の通りなのだけど、一方で、検査数の方は、保険適用の検査がカウントされていないため、重要な指標でもある陽性率を読み取ることが出来なくなっているのに加えて、東京都の1日辺りで検査が可能な件数は最大で225件とされており、検査数には上限があることも明らかにされている。
そして今一番気になっているのは、PCR検査にかかる日数がかなり延び始めていることだ。

www3.nhk.or.jp

検査待ちもさることながら、検査結果も当初は翌日に判明していたものが、今では数日掛かるようになることも見受けられ、これらを総合的に判断すると、既に東京都では1日で処理できる検査能力を遥かに越える検査の依頼が押し寄せていて、キャパシティーオーバーに陥っていることが考えられる。

そして、東京都の検査の実施数には200件強の上限があるということは、1日で判明する感染者数にも限りがあるということだ。
もちろん、その他の検査機関を使って処理するケースもあるかとは思うけど、国内全体の検査数も増えてきている現状では、かつてほどリカバリーは望めないと思われる。

となると、東京都が明らかにしている感染者数は、実は「鈍化」しているのではなくて「上限」があるだけの話で、陽性率の範囲内での上下動はあるものの、実質的には100人から200人前後でしか推移のしようがない可能性が高いのだけど、果たしてどうだろう。
もし仮にそうだとすると、どんなに大流行が起きようが、表向きの数字は横ばいにしかならないということになる。
でもって、検査待ちの患者が増加しているとするならば、既に相当数の感染者が発生していると考えざるをえない。
即ち、今後も、200人前後の表向きの感染者数が横ばいで続くようなことになれば、その裏で、検査待ちの感染者が累積されていくことになるのだと思う。
更に言えば、検査を待っている間にも充分な医療を受けられず重篤化してしまったり、はたまた感染を媒介してしまっていたりすることも危惧され、結果的に医療へのしわ寄せや負担が増えていくことも考えられるのだ。

感染が拡大するにつれ、メディアも含めて、つい医療崩壊の方に目が行きがちだけど,そもそも医療への道筋(トリアージ)をつけるためのPCR検査のはずが、その肝心の検査自体に崩壊が起きてしまっていては、正しい医療に繋げる道筋を失ったに等しい訳で、それはそのまま医療崩壊の連鎖へと繋がっていってもおかしくない状況だと言える。
と同時に、検査の崩壊は、感染データの信頼性をも著しく低下させることになる訳で、感染対策における有効な手立てを見失うことにもなりえるのだ。
そんな訳で、医療と感染対策の指標となるべき検査の崩壊が起きているとするならば、東京都の状況は極めて危険なレベルに達していると言わざるをえない。

医療にしろ感染対策にしろ、全てはエビデンス即ち、精度の高い感染データが伴って機能していく訳で、その要とも言える検査体制の崩壊が与える影響は計り知れない。
ただし、これは公表されているデータに基づいた穴ぼこオヤジの稚拙な推論でしかないので、さすがに専門家会議には、もっと様々なデータが集まってきているだろうし、多くの知見が集まっているのだろうから、彼らの言う「鈍化」には根拠があるのだろう。
であるならば、もっと子細なデータを公開するべきだと思うのだけど、僕ら都民は彼らの言葉を信じる以外に、残念ながら術を持ち合わせてはいない。
ただし、一つだけ確実に言えることは、現在明らかになっている東京都の感染者数は、もはや感染の状況を表すデータにはなっていないということだ。
果たして東京都は大丈夫なのか?


=4月25日追記=

なんとも絶妙なタイミングで、東京都のPCR検査の実施件数で保険適用分も反映したデータに更新されていた。

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なんと、ここ最近では連日1,000件近くも検査を行っているようで、予想の遥か上をいく検査数にはたまげた。
逆説的に考えると、依頼数の急激な増加に慌てて対応しているようにも見えるね。
いずれにしても、専門家会議で発せられた「鈍化」の説得力は一気に増したことになる。
と同時に、これでまともな陽性率の計算が成り立つことにも。
ただし、他県に比べれば、依然高い陽性率ではあることと、検査待ちが常態化している現状に変わりはないので、相変わらず東京都は危険な状況にあるとは言えそうだね。
とまぁ、なんにせよ、ようやくデータの信頼性が上がったのは歓迎すべきことなんだけど、なぜに今頃になってという疑問は残っちゃう。