穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

リアル八甲田山

あろうことか、2週続けてのまさかの大雪。
でもって、まぁ、穴ぼこ宅を出る時から、なんとなく嫌な予感はしてたんだけど...

JR横浜線立往生で乗客誘導
JR東日本によりますと、午前0時過ぎ、横浜線は架線に電気が供給されない不具合が起き、淵野辺駅近くに1本、長津田駅近くに2本の、あわせて3本の電車が立往生したということです。
乗客については、乗務員が安全を確認した上で電車から降ろし、最寄りの駅まで徒歩で誘導したということです。
乗客のなかには、誘導先の駅で始発を待っている人もいるということです。
乗り合わせた男性は「電車が止まってから誘導を受けるまで2時間半ほど車内で待たされ、説明に回って来た乗務員に詰めよる人もいました。車内の座席は埋まっていて立っている人も大勢おり、乗客のなかには疲れて床に座り込む人もいました。停車してから車内の電灯や暖房がほとんど消えてしまい、底冷えがして寒く本当に疲れました」と話していました。
= 2014年2月14日 NHK首都圏NEWS WEB =

ハイ。
実は、ワタクシ、大雪で立ち往生した、この3本の列車の内のひとつに乗っておりました(爆)

この時、横浜線で町田まで帰ろうとしていた最中だったんだけど、まず最初に、中山駅に着いた時に、橋本付近のポイント故障が発生したとのことで、停止信号の為に運転を見合わせる車内アナウンスが。
でもって、中山駅のホームに停車中だったので、なんと大雪の中、車両のドアが開いたまま停車することに(汗)
すると、一部のドアを手動に切り替える作業を行ってドアを閉めます的なアナウンスを残して、猛ダッシュで車掌がホームに飛び出していった(笑)
その間、吹雪に晒されたまま、ドア全開の車内の温度があっという間に急降下。
いやぁ、実に寒い。
で、しばらくしてから、手動の切り替え作業も終わり、ようやくドアも閉まってやれやれ一安心...
と思ったのも束の間、停止信号が青に変わったとのことで運転再開(爆)

なんのこっちゃ...

続いて電車は隣の駅、十日市場に到着。
すると、ここでもまた残念なアナウンスが車掌の口から告げられる。

長津田駅付近にて前を走行している電車のパンタグラフが、大雪の影響で下がった状態となってしまった為、現在停車中との連絡が入りました。その関係でこの列車も十日市場駅にて運転を見合わせます」

ってなことで、電車のドアは再び全開のまま運転見合わせ(笑)
そして、またもホームをダッシュで駆けていく車掌(爆)
デジャブか!
で、さっきと同様に、一部車両のみ手動に切り替えて無事にドアが閉まる。
ただし、今度は更なる悪い知らせが、車内アナウンスから流れてきた(汗)

「停車中の前の車両で停電が発生したとの連絡が入りました!」

いやはや、なんとも...
どうやら事態は悪い方向へと向かっている様子(汗)
さてさて、無事、町田まで帰れるのか?と不安が頭をよぎります。
と思った瞬間、いきなり電車内の蛍光灯が一斉に消えて、突如真っ暗に!

えっ?!
なんだ?
一体、どうしちゃったの?

とりあえず、しばらくしてから明かりは戻ったものの、どうやら架線の電力が不安定な模様。
するとそこで、今、乗っている車両も、確認作業の為に一端パンタグラフを下ろしてみるとの車内アナウンスが。
ってことは、即ち、電車への電力が完全に遮断されるってことね。

ということで、非常用の蛍光灯のみ残して、一斉に車内の明かりが消えます。
もちろん暖房も...
ちなみに、最後尾の車掌室の近くに座っていたので、暗く静まり返る車内に、JR内の緊急無線で飛び交う会話だけが、虚しく漏れ響いておりました(笑)

で、漏れ聞こえてくる無線からの断片的な情報を繋いでいくと、どうやら、かなり事態は深刻なご様子。
そんな訳で、もしかしたら、長丁場になるのかなぁなんて考えていると、車掌から悲痛なアナウンスが...

「只今、当列車のパンタグラフも上がらなくなりました」(爆)

ガ〜ン!
時間の経過と共に、着々と悪化の一途を辿っていく横浜線(汗)
復旧の目処が全く見えないまま
そして車内の電気は消えたまま
もちろん暖房も消えたまま(寒)
時間だけが、刻一刻と過ぎていきます。
そういえば、なんだか、飛び交う無線の口調も激しくなってきたような...(苦笑)
いや、この状況がそう感じさせているのかも?

てか、さすがに、何かしらの覚悟を決めなければいけない状況になってきたぞ。
ついでに、吐く息も白くなってきたぞ(爆)
底冷え半端無いぞ(泣)
んな訳で、穴ぼこ嫁ともメールを交わしながら、あれこれと思案を巡らせていると...

遂に、非常用の蛍光灯が...消えた。
そして、車掌室から無線の音も...消えた(爆)
でもって、慌てて、車掌が電車を飛び出し、そのまま...帰ってこなくなった(笑)
つまりは、非常用のバッテリーも底を着いたってことね。
これって、かなりの非常事態?
そんな、お先真っ暗になった車内を、大吹雪が舞うホームの明かりが虚しく照らします。
って、なんか、シュール過ぎるわ...


車掌の姿も消えた?停電中の横浜線車両後部

気付けば、夜の0時頃に十日市場に到着してから停車したまま、既に2時間以上が経過(爆)
もはや車内は、KO負けしたボクサーの控え室?
いや、執行直前の死刑囚の控え室?
みたいな、なんともいえない雰囲気が漂ってます(笑)
ちなみに、いびきの音も漂ってました(爆)

もうこうなったら、電車が動かなくてもいいから、この最悪な状況をなんとか出来ないもんかねぇ。
さすがに、架線がダメになったのだとしたら、そう簡単には復旧しないっしょ。
我が穴ぼこシティ町田まで、たったの3駅なのに、こんなにも時間がかかることになろうとは(泣)
せめて、これが中山駅だったら、友達の家に避難出来たのになぁ。
今更、駅の外に出て行ったところで、深夜の2時過ぎじゃ、十日市場ってほとんど何もない場所だし...
でもって、仮にタクシーを捕まえるにしても、それ以前に、この大雪の中でタクシーが走っているかどうかすら怪しいもんだし...
まさに、行くも地獄、残るも地獄(笑)

とまぁ、あれこれ穴ぼこ脳内で思案した結果、残された選択肢は二つ。

  1. 諦めて、冷えきった車内に留まる覚悟を決める(あわよくば早く復旧するかも?)
  2. 思い切って、大雪の中、町田まで歩いて帰る(あわよくばタクシーが拾えるかも?)

で、下した決断は...?


(2)の自力で町田まで目指すことに決定!
ということで、冷凍庫と化した横浜線を後にして、十日市場の改札を飛び出すのでした。

だって、その昔、新横浜から町田まで歩いたこともあるし!
しかも、幸いなことに雪も小降りとなってきたし、これならなんとかなるんじゃね?
で、実際のところ、歩き出したら体も暖まってきたし、あのまま、冷凍車で眠るよりは良かったでしょ。
てな訳で、足取り軽やかに、いざ町田へGO!

と、ここで、おや?っとお気づきのアナタ!
なかなかに鋭いですな(笑)

そう、当エントリーのタイトルを、今一度、思い出していただきたい。
当エントリーのタイトルは...

『リアル八甲田山

八甲田山といえば...
ご存知、日本映画で有名となった、実話を題材に旧日本軍の過酷な雪中演習を描いた、あの「八甲田山」のこと(笑)
つまり、今までの出来事は、ほんのプロローグにしか過ぎなかったのです。
ここ十日市場駅を出てから町田に向かうまでの道中こそが、リアル八甲田山だったのです(爆)

八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)

そんな訳で、勢いよく歩き出したはいいものの、駅前で踏み固められていた歩道も、次第に膝まで埋まってしまう深さへと変わっていきます。
当然、タクシーはおろか、辺りに車も人影もまったく見当たりません。
むしろ目立つのは、坂の下で無残にも乗り捨てられ、雪に埋まっている無人の車の数々。
中には、走れなくなって、車中泊をしている車の姿なんてのも。
まぁそれでも、国道246号線まで行けば、なんとか展望が開けるかもと思い、ひたすら雪の中で歩みを進めるのでした。

で、雪道と格闘すること数十分、なんとか246号線まで辿り着くことに。
さてさて、運良くタクシーを捕まえられるかな?...
という淡い期待が虚しく裏切られる光景が!
なんと、深夜3時になっているにも関わらず、大渋滞の様相を呈している国道246号線(汗)
何百台もの車が下りの車道を連なって埋め尽くしています。
あぁ、期待していた自分がバカだった(笑)
そんな大渋滞を横目に、膝まですっぽり入る雪を掻き分けながら、ひたすら歩き続けるワタクシ(汗)
と、ここで、あることにふと気付きます。

ん?
かれこれ数10分、国道を歩いているけど、渋滞の列ってば、ずっと止まったままじゃね?
車が進んでいる気配がまるで無いぞ?!
って、そう、よくみたら渋滞の先頭のトラックが、立ち往生して、国道246号の下り線を塞いでいるじゃあ〜りませんか!(爆)
まさに、国道246号線封鎖せよ!状態(笑)
恐らく、渋滞の後ろの車は、そんなことも知らずに、動き出すのをひたすら待ってるんだろうなぁ。
いやいや、これ、どう考えても朝まで動けないっしょ!

んな訳でタクシーに乗らなくて良かったぁ、と胸を撫で下ろしてみるワタクシ。
ん?でも待てよ。
これって、逆に考えると、もはや頼れるものは己の足しか無いってことでもあるんだよなぁ(泣)

ということで、観念して歩いて帰るんだと腹を決めることに。
でもって、国道246号線の車通りが途絶えたついでに、いっそのこと車道を歩いてみることにしました。
いやぁ、国道246の車道を、大手を振って歩くのも、なかなか贅沢で悪くないねぇ。
何より、大雪に埋もれた歩道と比べて、車で踏み固められている分、歩き易さがまるで違う(笑)
お陰で、折れそうな心がなんとか繋がった気も(笑)

やがて、町田まで半分の折り返し地点というところまで来ると、国道246号線に別れを告げ、町田方面に向かう側道へと進みます。
残すはあと半分!
よし頑張るぞ!
しかし、この先、まさかの八甲田山が待ち受けているとは、思いもよらなかった...

町田方面に向かう道に入って進んでいくと、これまでとは明らかに違う変化が...
まず、国道246号線の時とは違って、交通量が少ないため、車道に踏み固められたわだちがほとんど見当たらない。
おまけに街灯も少なくなり、足場を見失って、何度も足を滑らす羽目に。
しかも、北が進路方向となるため、強烈な北風が容赦なく行く手を阻もうとする。
傘は半壊してただのガラクタとなり、水を含んだ固い雪が、小石のようになって顔面を打ちつけてくる始末。
でもって、どこかに避難しようにも、コンビニひとつ見当たらない普段は閑静な住宅街(爆)
更に追い討ちをかけるように、雪がみぞれへと変わり、気が付けば全身ずぶ濡れ状態に(ちなみに靴の中はとっくに水浸しならぬ雪浸し)。


八甲田山の道中での1枚、樹氷ならぬ車氷?

マジで、大雪に埋もれながら暴風雪の中を歩いていくうちに、気力と体力がどんどん失われていくのが、自分でもよく判ったね。
しかも、こんな日に限って、朝からブラックサンダー1個しか食べてないし(爆)
てか、ブラックサンダーって...(笑)

ブラックサンダー有楽製菓30円×20個入り16BOX(320個)

そんな訳で、ホントに遭難寸前にまで陥り、言いようの無い恐怖を感じたね。
てか、朝4時の住宅街のド真ん中で、鼻水垂らして半べそかいた40代のオッサンが危うく遭難って、どういうことやねん!(笑)
て、笑い話にもならないことが、暴風雪の中では起こりえるんだということを実感。
ついでに後悔も(笑)
こんなことになるのだったら、電車に残っていれば良かった!

まさに、進むも地獄、戻るも地獄(爆)
若きフィギアスケーター羽生クンが、金メダルを目指してソチのリンクで懸命になって滑っている頃。
中年メタボの穴ぼこオヤジは、ゴールデンシティ町田を目指して、暴風雪の中を懸命に絶えながら、何度も足元を滑らせてました(笑)

ということで、十日市場を出てから雪の中を歩くこと約2時間、最後の力を振り絞って、遂に自宅まで辿り着くことができました。
それこそ、JR中山駅にいたのが23時30分頃で、町田の自宅に着いたのが翌朝の4時30分頃。
普段なら30分程度で帰れるはずが、都合5時間かけて、ずぶ濡れになり、地を這うようにしてのご帰還となりました。
さすがの穴ぼこ嫁も、今回ばかりは一睡もせずに待っていてくれてたみたい(泣)
というか、よほど心配だったのだと思うけど、利用者向けの情報をほとんど出さないJRに対して、えらい剣幕でマジギレしてた(笑)
ちなみに、件の横浜線なんだけど、自宅到着と時を同じくして運転を再開してたみたい。
う〜ん、やっぱあのまま乗ってた方が良かったのかなぁ(爆)

それにしても、ちょっと、我ながら信じられないような、ホントに壮絶な体験だった。
あと、何気にユニクロヒートテックの凄さを実感。
冷え切った電車の中では、全くありがたみを感じなかったんだけど、体を動かすと一気にその機能性を発揮。
お陰で、あれだけ過酷な状況の中を歩いていたにも関わらず、体温だけは奪われずに済んだのかな。
後になって思えば、遭難しなかったのもヒートテックのお陰?

それにしても、まさか「寝るな!寝たら死ぬぞ!」の八甲田山の世界を現実に体験するとは思わなんだ(汗)
しかも、よりによって住宅街のド真ん中で(笑)