穴ぼこ生活

穴ぼこの空いた数だけ書き記すお気楽ブログ。穴ぼこ人生ここに極まリ!

笑えない話

なんか、まるで池井戸潤原作のドラマを見ているかのような錯覚に陥りそうな吉本興業のお家騒動。
なんせ、旬の芸人さん達が次から次へとリアルに登場してくる訳で、そりゃまぁ高視聴率になりますわな。

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一方で、連日報道すべきニュースなのかという指摘も出てきているようだけど、それは大きな誤りだと穴ぼこオヤジは考えるね。
というのも、一連の騒動には単なる芸人と所属事務所のトラブルということだけで片づけてはならない本質が隠れているからこそ、これだけ世間が反応している訳で、とりわけ穴ぼこオヤジがそれを強く感じたのは、極楽の加藤やハリセンボン近藤春菜らといった活躍中の芸人さん達が、今だ契約書を交わさないで芸能活動を行っていると公表したことで、大手の企業でそんなことがまかり通っているのかと驚愕する他なかったね。
まぁ、社長自らが自分の会社をファミリー呼ばわりすること自体、ブラック企業の臭いしかしない訳で、道理で裏社会との親和性も高いはずだよ(笑)
即ち、今回の騒動は労働問題や人権問題そのものであり、タレントの権利を搾取することで会社の権益を拡大してきた歪が一気に噴出したというのが事の本質なんだと思う。
ちなみにこれって、NGT48で起きた山口真帆の騒動やジャニーズの圧力問題にも通停している話で、タレントが弱い立場に置かれている業界の現状が、時を同じくして浮き彫りとなったのは決して偶然ではないと思うんだよね。

例えば、欧米のショービジネスの世界では、そもそも芸能事務所というものが存在しておらず、タレント自らがマネージャーやエージェント(代理人)を雇って、タレント自身の意思決定の元に活動を行っていくのだけど、日本は事務所が既にマーケットやコンテンツを独占している状態なので、充分なタレント活動を行うには芸能事務所に所属する他ないというのが現状なんだよね。
更に欧米では、タレントの労働組合社会保障なんかもあったりするのだけど、日本にはそんな仕組みは存在しておらず、極めて弱い立場でタレント活動を行っているのが実態なのだ。
それこそ、日本の芸能事務所の成り立ちを紐解けば、かつての祭りの興業を仕切るヤクザ達からその歴史が始まったりもしている訳で、今だにその体質が脈々と続いているとも言えるんじゃないのかな。

いずれにせよ、吉本にしろジャニーズやAKBにしろ、タレントの権利を阻害して、会社の権益を拡大してきた訳なんだけど、実はこれって何も芸能事務所に限った話ではなくて、よくよく考えると今の安倍政権が全く同じ志向でもって政権運営をしているというオチ。
国民の権利を阻害し、国家の権力を増大させているその様は、まさに芸能事務所さながらであり、そんな国家や行政が絡んだプロジェクトに、吉本、AKB、ジャニーズらが深く関わっていたりするのも、その親和性のなせる技であり、決して偶然じゃないってのは明らかな話なんだよね。

そう考えると、例の吉本興業の岡本社長が行った会見しかり、吉本興業の思惑が透けて見えてくることに気が付いた。
今や散々な叩かれっぷりだけど、あの会見で、なぜ一連のパワハラ発言をのらりくらりとかわして、一切を認めようとしなかったのか、それこそ、潔くパワハラ発言を認めて謝罪をし、一連の発言を撤回して、改めて和解に向けた協議をお願いするような姿勢を示せば、恐らく事態は収束の方向に向かったはずなのに、あえて吉本はそうしなかった。
むしろ、パワハラ発言を会社として絶対に認めてはならない事情があったと考えざるをえない。
だからこそ、詭弁を繰り返す前代未聞とも言える、ぐだぐだな会見になったのだと思う。
ちなみに個人的な話をしておくと、その昔、東京に進出した頃の吉本興業と仕事をしていたことがあって、当時、件の岡本さんとは挨拶を交わす程度だったんけど、藤原さんとはよく話もさせてもらっていたんだよね。
で、何年後に別の現場で偶然会った時も、若造だった穴ぼこオヤジのことをちゃんと覚えていてくれて、挨拶もしてくれたりと、ホントいい人だった記憶しかない。
なので、今回の騒動で矢面に立たされている姿を見ると、余計に複雑な気持ちが湧いてきて仕方がないんだよね。

とまぁ、そんな私情はさておき、既に明らかになっているように、多額の税金が投入された国家や行政のプロジェクトに大きく関わっている吉本興業からすると、反社会勢力との繋がりや社長のパワハラ発言が明るみに出ることは、致命的であり絶対避けなけれならない問題であることは想像に難くない。
皮肉なことに、行政と交わした契約書にも瑕疵を犯した際の取り決めは明記されているはずで、今回の事案が抵触する可能性も十分に考えられる。
そうなると、プロジェクトから外されるだけでなく、賠償を求められるケースも起こりえるだろうし、その後の企業活動に支障をきたすことも考えられ、なにがなんでも隠蔽する必要が吉本興業にはあったと想像する次第。

そもそも吉本興業が直営業の実態を知らないはずはないし、ましてやノーギャラで出演したとする芸人の話を吉本サイドが鵜呑みにするのは、にわかには信じ難いんだよね。
問題発覚の当初から吉本はノーギャラで乗り切るつもりだったであろうし、宮迫達がギャラを認めてから、カラテカ入江をスケープゴートにして静観を決め込もうとしたのも、絶対に表沙汰にしたくない会社の裏事情を抱えていたからこその動きだったと考える方が自然でしょ。
だからこそ、当該芸人達がどんなに謝罪会見を直訴しようとも一切取り合わず、なんとか謹慎で済まして問題を風化させようとしていた訳なんだけど、よもや芸人サイドが弁護士を立てることまでは予期しておらず、吉本サイドの筋書きが大きく狂ってしまう事態になったのだと想像する。
即ち、第三者が介入してきたことで、表沙汰になるリスクが一気に高まり、宮迫らが会見でも語っていたように、ここが今回の問題のターニングポイントとなって事態が思わぬ方向に転んでいったのかと。
そう考えると、吉本が芸人サイドの弁護士を排除しようとしたのも、そして恫喝をしてまで芸人らの口封じを試み、それに応じないとみるや、彼らを強引に引退へと追い込もうとしたのも、すべて辻褄が合ってくるんだよね。

つまりは、単なる事務所VS所属芸人という対立構図で語れらるスキャンダルではなく、大きな利権が絡んだ吉本興業の存続に関わるスキャンダルと捉えた方が、実態に近いんじゃなかろうか、って、もはや池井戸潤のドラマそのものじゃん(笑)
とはいえ、そんな裏事情は他の所属芸人からすれば直接関係のない話で、吉本サイドの非常識な態度に怒りや不信を抱くのも、これまた自然な流れな訳で、一方で、吉本からすると、利権を死守するためには芸人を蔑ろにしてでも不都合な事実を覆い隠したい訳で、双方の思惑が噛み合わないまま、身動きが取れなくなってしまったのが現状ではないかと。

headlines.yahoo.co.jp

そんな訳で、経営陣と所属芸人達が目指すゴールが一致していなければ、ゴールが分からなくなるのも当然な話で、ましてや登場人物があまりに多すぎて、そもそも何を以ってゴールとするのかすら分からなくなっている状態なんだろうね。

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でもって、閣僚や公取委からもコメントが相次いだことで、さすがに軌道修正を迫られた格好なのだけど、まぁそれでも希望する芸人とだけしか契約書を交わす気がないらしく、この期に及んでもなお芸人の権利を軽視する姿勢は相変わらずのようで、しばらくは迷走が続きそうな気がするね。
結局のところ、6千人もの芸人をむやみに抱える吉本興業のビジネスモデルが、社会意識の変化に伴い、破綻を来たし始めたということなのだろう。

中には、芸人の夢を目指すなら食えなくて当然だという言葉も目にするけど、穴ぼこオヤジに言わせれば、それは思考停止としか思えないね。
相撲部屋だって入門すれば衣食住だけは保障している訳で、芸人を抱えるのならば、彼らの権利を保障するのは企業であれば尚更当然のことでしょ。
それこそ昔から不思議に思っていることなんだけど「夢を追う」=「生活を犠牲をにする」みたいな公式っておかしくないか?
犠牲を強いられなくても夢を追える社会を作っていけばいいじゃんと思うのだけど、どうしてそうならないのかねぇ。
そもそも働くことって、自分の夢を実現する為の手段でもあるはずなんだけどなぁ。

そんな訳で、今回の件が社会問題にまで発展しているのは、吉本が抱える問題点が、人々の働き方や生き方と地続きになっているテーマだからなのだと思う。
即ち、吉本興業がかような視点を欠いたまま物事を進めようとすれば、そう簡単に鎮火することはないだろうね。
誰かの犠牲の上に成り立つお笑いなんて、笑えない話でしかないでしょ。